天気も少し落ち着いてきたので宮ヶ瀬湖にベニマシコが来ているか見に行く事にした。朝8時半頃に久しぶりの道、カーナビを頼りに走り出す。海沿いの134号線から平塚で61号、伊勢原方面に向かう。多分この道で良いはずだと、記憶が少し蘇る。しかしナビの「この先を左方向」に反射的に左と聞いて左折してしまった。自信の無い道でよくやる間違い。仕方なくナビに従いぐるぐる回り元に戻る、貴重な朝の時間をロスしてしまった。
結局10時過ぎに駐車場に着く。駐車場に入るとき気になったのがイベント料金1000円のチラシが貼ってあったこと。何のイベントだろうか?以前はもっと安かったはず(以前、平日は無料だったような?)
- 後日のネットの検索:クリスマスみんなのつどい(11月下旬〜12月下旬)イベント期間、と記載あり。
きっと野鳥観察者も巻き込まれている。知らずに行った自分は払うしか無いのだった。無料の駐車スペースもあるらしいが、落石やイタズラされることもあるらしく、安全を考えると有料駐車場しか無くなるし。面倒なことになっていた今回の宮ヶ瀬だった。
●水底に 営み沈め 紅葉す ※宮ヶ瀬はダム人造湖、湖底には昔の暮らしの歴史が眠る。
観光を外貨獲得のメインテーマとして押し出しているこの国だが、今まで平日には無料で楽しめた自然観察まで巻き込むイベントとやらをぶち上げて、一網打尽で有料にするというのは汚いやり方だ。消費税増税と合わせて腹がたつ。気楽に足を伸ばすことが出来なくなった。
●おもてなし 腹立たしきや 税上がる
久しぶりに見る宮ヶ瀬湖、湖面の色がグリーンで水量もかなり増えていた。何だろう数日前の雨のせいだろうか、先日の台風19号では山沿いで被害があったのでここも土砂崩れなど有ったのだろうとは思っていたが、この水のペンキを溶かしたような碧色と水量には驚いた。
●爪痕を 隠すか秋の 蒼き水
かなり遅めだが紅葉も楽しめるかと期待したがやはり一部を残し枯れた色に変わっていた。
火星には 紅葉は無し 此所に有り ※大切な季節がある幸運、いつまで持つのだろうか?
駐車場から重い三脚と小物を詰めたリュック、新しく買った双眼鏡を持って早戸川林道に出て行く。やはり雨の影響か、もしかして台風の爪痕か林道上にはみ出した土砂や水たまりを避けながら舗装された林道を歩いていると何人かのカメラマンにすれ違う。挨拶をして情報を聞くとベニマシコやルリビタキも出ているようだとのこと。
ゆっくり確認しながら歩くが鳥の声はほとんど聞こえない。最初に見かけた鳥はツグミの群れ、逆光気味なのと遠いけれど最初の野鳥なので何とか撮影した。たわわに実った黒っぽい実に夢中になっていた。
●ツグミ群れ 賑わす山の 年の瀬か
その後に以前も見かけた場所でジョウビタキの雄が出たがあまりにも近く、必死で捕らえようとするが上手くフレームに入れられず結局逃した。残念、やはり撮影間隔が空いている事もあり動作が遅く、折角のチャンスを逃した。仕方が無く、山肌に目立っている残り物の紅葉を撮ってみたりする。
●紅葉の 枯れつつ遠き 望遠す ※目視では綺麗な葉も望遠で撮ると枯れた部分が見える。
少しずつ進んでは機材を下ろし鳥の気配を待つが、中々声も聞こえてこない。
●冬山路 潜む鳥なし 散る紅葉 ※カサッと音がするが、落ち葉の散る音だった。
山肌の草には実が付いていて鳥が食べにやってきても良さそうなのだが。しばらく歩いていると反対側から来る人達何人かと会った。林道を逆から来たのか同じ方向から来て引き返しているのか不明だったが、様子を聞くと先の方でベニマシコが出ていたとのことだったので、足を速めて途中の隧道トンネルや二つの橋を越えて汗をかきながら歩き続けた。
●異界より 振り返り見し 秋がゆく ※トンネルの中から見る景色は、違う世界に見える。
橋を二つ渡った先で三人ほどがカメラを構えていた。寄っていくと二人は片付けて移動する模様。残った人に聞くとさっきまでベニマシコのつがいが出ていたらしい。その人は平塚の人でさっき近くに出たので、待っていればまた出てくるはずと教えてくれた。しかも近くを探してくれて、手招きしている。近づくと待望のベニマシコがいる。赤い色の雄と少し地味な雌、今ここに入っているペアのようだ。三脚を置いて、つがいのベニマシコを撮影する。今回この人に出会えなかったら、また空振りでとぼとぼ帰るところだったので感謝感謝である。
猿のような赤ら顔は雄だが、久しぶりに可愛い顔を見た。最初は二羽で仲良く餌を啄んでいた。
●枝枯れて 赤き鳥来し 早戸川
赤いお腹が可愛らしい雄、優しげな目つきの雌 ●葉が落ちて 鳥の賑わい ベニマシコ
そのうち雄が離れていき、雌はマイペースで食事。●実を啄む OPECもグレタも知らず
雄は少し離れたところで、赤い猿のような顔を見せて熱心に実を啄んでいた。
潜り込むような動作を見せる雄。●冬の山 マシラの鳥と 再会す
ベニ(紅)のマシラ(猿)のコ(子供?)だからベニマシコかな?
そしてまた二羽が一緒になった。 ●実を咥え この藪守れと 見つめられ
ベニマシコは数分間出ていてくれたが、また斜面の藪に姿を消した。その後もしばらく粘ったがもう出そうに無かった
やっと撮影が出来た帰りがけ、斜面に何かがうごめいていた。双眼鏡で探すと何かが居そう、カメラを据えて一生懸命覗くと、どうやらアオジのようだ。粘って草の中に隠れるアオジを何とか撮影してみた。
ぼやけた白っぽい草の間にアオジの縞がある黄緑色のお腹、嘴の一部、黒っぽい目が見える。
少し体が見える位置に出てきた。 ●あれアオジ 藪に潜みし 玉(ギョク)の毎
草の斜面をトコトコ登って姿を見せるがすぐに草の中に紛れ込んでしまう。
来るときは期待で頑張って歩いてきた距離だが、多分もう鳥には遭遇しそうに無いと言う雰囲気で機材も重みをぐんと増し、汗をかきかき林道を戻っていく。
結構な距離をフウフウ言いながら戻って、朝ジョウビタキを逃したあたりに来ると、またヒタキのヒッツヒッツという声が聞こえた。双眼鏡を覗くと雄のジョウビタキが居た。やはり斜面の草の中に降りてしまうので何とか証拠写真でも撮りたいと思い追いかけた。やっと数枚撮影したのが後ろ向きの丸っこい姿。でも、何とか撮れて高い駐車料金も全くの無駄では無かったと思いながら帰れて良かった。
●ジョウビタキ 今年も来たぞと 声掛け合い