つぶやくdorotanuki

小さい穴から見える外界の様、過ぎる時代への雑感をつぶやく

7月、文月<夏> その1

今月は芭蕉や先人の俳句を題材に、自分の思いを重ねたりイメージを変えて俳句もどき作成にチャレンジしたい。俳句についてきちんとした知識は無いので、真似ている内に少しでも良くなればと勝手に期待、試してみよう。

1日:芭蕉: 野を横に馬牽(ヒキ)むけよほととぎす:時鳥が鳴いている方に馬を牽いてくれ。昔から春の桜、ホトトギス、秋の月、冬の雪は四季を表す題材で俳人歌人に好まれた。<鳥つながりで、夏の野鳥撮影で発想してみる。>

三百や富士五合目のカヤクグリ(望遠300mm+で撮影、富士山五合目の山小屋、水場)

カヤクグリ:イワヒバリ科、夏の野鳥で5合目の水場と軽井沢でしか見たことがない。

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2日: 芭蕉:夏の夜や崩れて明し冷し物:句会明けの短い夜、つまみも崩れてきた。

芭蕉は旅の途次に弟子が居たら句会を開いたらしい。酒肴も出たのだろう。

<酒は飲めないので久しぶりに聴いた1977年の曲から、当時のことを少し思いだす。>

フィーリング聞く夏の夜のほろ苦さ芭蕉の句に並べてはいけないレベルだけど。

※梅雨晴れ、鶴岡八幡宮に蓮を見に行く。午後だったので花は余り開いていなかった。

風白く蓮葉波うつ八幡宮(風が向こうに走っていく)

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梅雨晴れ間光縁取る平家蓮(天下を取った平氏も没落。少し昔を思ってみる。)

平家蓮;平家池の蓮なのでくっつけただけの勝手な造語です。陽の当たり方でしょうが、ハスの葉の周りが一部煌めいていました。一つ一つが小さな太陽のようでした。

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昼下がり白蓮閉まる源氏池

源氏池だから?か赤い花はちらほら咲いていたが、白いハスの花は閉じていた。そんな中をアオサギが神社の主のようにのっそりと歩いていた。

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3日:芭蕉:別ればや笠手に堤て夏羽織: ではこれでお別れです、これから旅にでます。芭蕉晩年の句らしく人生の惜別の意味も込めているのでは?とか。

別ればやコロナ終われば来る夏に:まだ直接会えない、電話でお互いの近況を確かめて落ち着いた頃に会おうと話を終える。リモートでの別離?こじつけだけど。

手水場はアジサイの花が浮かべてあり、参詣の若い人が手が洗えない?と訝っていた。

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4日: 芭蕉:涼しさをわが宿にしてねまるなり:知り合いの家で我が家同然に休めた。

「ねまる」は多分江戸時代の言葉で座る、寝ると言った意味があるよう。田舎では腐ることをネマルと言ったので少し戸惑いました。芭蕉の句の意味は、旅の疲れを現地の知り合い (弟子)にもてなして貰い安心して休めた。という意味らしいです。

涼しさをブン蚊の破る昼寝かな(ウトウトとすると、独特のプーンという音がくる。)

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5日: 芭蕉:おもしろうてやがてかなしき鵜舟かな: 

見ている時は面白いが、終わって手仕舞いして行く様は寂しいものだ。かなしきは最初捕まえた魚を吐き戻させられる鵜が可哀想という意味かと思っていました。

白蝶を何処に置き去る驟雨哉:蝶達は、こんな激しい夕立を何処でやり過ごすのかな。

激しい雨が止むとやがて蝶も出てくるけど、どこに隠れているのかなと思います。

百合添えて三十四年数えおり:父命日、百合と白い菊を買ってきた。地味だった人に不似合いな花かな。もう34年も経っている、そういえばあの年の7月も雨がひどかった。

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6日:芭蕉:雲の峰いくつ崩れて月の山:入道雲がいくつ崩れてこの月山になったのだろう!山形の月山は有名な山、実際行ったことがないので芭蕉の句からきっと雄大な山だろうと想像するしかありません。芭蕉は実際に登ったそうです。

雲の峰(夏:山のような入道雲)

湧きたつや富嶽越えンと雲の峰 写真は笠雲、もし雲に被われてもその奥に山はある。

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7日:七夕、旧暦の七夕は2020年8月25日。この頃なら天ノ川も見えるのだろうが。

七夕や龍静まれと祈りおり:今年の大雨、北部九州の河川は荒れ狂っている。故郷も含めて九州の大雨被害、まだこれからも続きそうだ。温暖化の現実を見せられている。

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新暦の七夕なので自分の思いつく句を:七夕や平塚行きのラッシュアワー

鵲(カササギ)の橋 化学繊維の浴衣 ※カササギが掛けた橋を渡って牽牛と織姫が出会う。

今は化繊の浴衣をきた若い男女が集う?でも出会いの橋は鵲が掛けると思いたい。

薫風のそよぎに座る巫女一人天気のいい日に行った鶴岡八幡宮、舞殿に一人座る巫女。

七夕や舞殿を舞う風の色 静御前義経のために舞を舞ったという舞殿、飾りが揺れる

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8日:(藤田湘子)七月や雨脚を見て門司にあり

七月や雨脚強く駅におり:出がけは止みそうな様子が目的地では本降り、駅で動けず。

(鷹羽狩行)目礼の後の黙殺白扇子:穏やかな拒絶

足早に目線交えず夏の雨:雨宿りの喫茶店、壁の隙間から外を通り過ぎる人達を観察。

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小林一茶)おもしろう汗のしみたる浴衣かな

ビニイルの傘とカッパと夏の雨 今、雨の日はビニール製品に助けられている。

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七月や雨の止む日はジムに行き:戻ってきたら雨がやみ、ジムで少し動き風呂に入る。

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9日:(中村草田男)厚餡割ればシクと音して雲の峰:まんじゅうを割る音と空の雲

義歯忘れ煎餅バリリ夏空に:たまには思い切り噛んでみる。描く世界が小さいな(泣)

七月や葬儀社裏の水溜まり:故郷を襲う大雨、中部や関東にも影響が出ているが、今のところ我が家に被害はない。死体安置所の裏手は、降った雨で水溜りが出来ていた。

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10日:(宇多喜代子)大きな木大きな木陰夏休み(気持ちの良いリズムです。)

傘の下くの字の母の夏の腕:ちょっと急ぎ足の母にぶら下がる幼子、雨と遊びたい?

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11日:(富安風生)梅干してあたりにものの影のなき:日干しの梅が場所を占領

この家を甘酢の包む辣韮漬け(甘酢漬けの時。雨が続き今年はまだ梅は干していない)

※雨が降りそうだったが、再度鎌倉に行ってみた。なんとか午前中は大丈夫だった。

白き蓮清し散りゆく花托見せ:蓮の中央部を拡大すると黄色く見える、花托(カタク)を知りました。小さな粒粒は種、驚きです。まるで蜂の巣、ハスという名前の語源だとか。やがて熟れた種は水中に落ちる仕組み。仏様と蓮の取り合わせも意味があることなのかな。

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12日:(芭蕉)夏来てもただひとつ葉の一葉哉:(一葉はウラボシ科のシダ植物。)

一枚の葉だけのシダ、その変わらなさを芭蕉は気に入っていたのでしょうか。

夏枯れの枝折る先や緑の実:地味で小さな緑色の南天の実もあまり変わらず。

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梅雨晴れ間ミミズ負けるなアスファルト:雨の為かミミズが一匹アスファルトの上で

もがいていた。生憎の晴れ間、頑張れもう少しで土の場所だ!アッ、写真撮り忘れた。

蓮の船重ねて亀の午睡かな いつ沈むかと半分期待して見るが、このまま浮いていた。

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13日: (芭蕉)石の香や夏草赤く露あつし那須殺生石、今も煙を吐き熱い蒸気を吹いている。周囲の草も赤く変色している、まるで今風の観光紹介キャンペーンみたいだ。

先日、車の整備で販売店に行った。外観は変わらなかったが、中に入って違和感が?!

夏の午後交差する影展示場(改装で店内配置が換わり、テーブルの影が互い違い)

待ち時間コオラ汗かくショウルウム(今日は整備なのでセールスも来ない、一休み)

※写真は別のカレー屋さんから撮った桜の木です。

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14日:夏茅原光澄む朝そよぎ聞き これは有名な短歌を縮めてみただけの物です。

斎藤茂吉真夏日のひかり澄み果てし朝茅原(アサジハラ)にそよぎの音のきこえけるかも

俳句もよくわからないけど、短歌は全然なじみがない。でも綺麗な言葉を探せるかも。

ハス開き白ランウエイ テイクオフ 光が差し、小さな花蜂が今テイクオフ。

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15日:(芭蕉)夏草や兵共がゆめの跡:古戦場の夏草、兵士達の夢や涙が眠る。

夏草や赤花ひとつ残りおり:有名な芭蕉の句を思いつつ花壇の草引き、小さな花を残す

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今回、主に芭蕉の句や他の俳句もいくつか解説した本を参照、マネして作るをやってみたが、芭蕉や他の俳人の句は実際の経験した事から、しかも漢詩や和歌などの膨大な知識の下敷きから出ているので、比較する事自体が無謀で全然ペケだった。

時代も生活様式も変わり、内容がピンと来ない句もあるけど何回も読むと少しわかった気がする。自己流のまま今月後半もやってみようと思います。

参照加賀乙彦、わたしの芭蕉山本健吉、言葉の歳時記:夏井いつき2018年季語手帳。