つぶやくdorotanuki

小さい穴から見える外界の様、過ぎる時代への雑感をつぶやく

八月:パンデミック:Pandemic

人獣共通感染症(伝染病)の世界的大流行。

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2020年以来、新型コロナウイルス流行との戦いに世界中が苦しんでいる。こんな環境下で日本はオリンピック、パラリンピックの開催という信じがたいモードの中にいる。この8月、第五波の大波が起こるべくして起こり、深刻な医療崩壊を起こしている。まさか政府がここまで無策で進むとは考えなかったが、感染しても病院に入れない現実に私達は晒されている。また非常時と言いながら、マスコミはオリパラの競技者やメダルにスポットを当て、感染の現実をぼかす。

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今の政治がやった事とこれからやる事について、実際に起きた事実をきちんと記憶、総括して「仕方がない」で終わらせない事が重要だと思う。太平洋戦争前後の政治史を読んでみて、今その時の教訓は生かされていないと感じる。

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読書感想文(昭和史:戦前編)

満州事変>昭和6年、1931年:柳条湖事件、9月18日:午後10時20分、関東軍が鉄道爆破をでっち上げ、満州支配を目的に中国と戦うのですがこの時、日本国内の新聞社:朝日、東京日日(現、毎日)時事、報知などの主要新聞社が、一斉に関東軍擁護の報道を展開し、ラジオ放送も追随し、国民世論が軍支援に変わっていった、とありました。実は戦争は新聞の部数を増やす最大の武器だったとの事。それまで戦争に批判的なマスコミの論評、態度は一変します。

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この頃から日本の軍国主義が強化されていきます。でもその入り口にはマスコミ自身が雰囲気作りを行う役目を負っていた事実はショックでした。戦前と戦後のマスコミ、反省をしたはずの今も似てきたのでは?

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例えば、今の時代も大本営発表のようなNHKのニュース報道には違和感があり、まるで政府との関係は戦前と近くなったのではないかと思ってしまいます。その中で政治の強権性が強まり、日本学術会議の任命問題が象徴するように、科学や民主主義を無視する政治が蔓延っています。

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感染症は人から人の感染で人流を押さえる必要あり、でもオリンピックだからイイヤ

今回のオリンピックについても、ほぼ全ての新聞マスコミが、日本のメダルラッシュを連呼し、コロナ感染爆発の原因、対策に対する現状や実態を見えにくくした事と、勝った結果を強調する報道は戦意高揚の役目を果たした戦前と重なります。どちらも「勝った!」の国威発揚が、国民に受け入れられるという事実でしょう。新型コロナウイルスとの戦いも過去の戦争のように、国民の命を守れず「敗戦」へと向かっています。自宅待機の恐怖を突きつけられた私達です。

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満州国建国>昭和7年1932年、3月1日。傀儡カイライのラストエンペラー溥儀。満州国を守る口実で関東軍が実効支配していきます。

<五一五事件>昭和7年1932年、5月15日:海軍士官による犬養首相暗殺。政党政治の終焉

犯人は死刑にもならず、国民も支持?政治を萎縮させる空気が不景気を背景に醸し出された。

挙国一致内閣の軍部中心による、恐怖政治が始まる。軍国主義は一気に出来上がるのではなく、国民を巻き込み徐々に進行します。

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国際連盟脱退>昭和7年、1932年10月12日:国連リットン調査団、一旦、日本は満州から撤退するよう勧告。昭和8年、1933年2月24日国連総会、日本軍の満州撤退勧告を42対1で可決、日本は国連脱退。孤立の道を選ぶ

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<二二六事件>昭和11年、1936年2月26日午前5時 決起部隊、1,483名 皇居を占拠する目的だった。青年将校を中心とするクーデター。天皇側近の要人を襲撃し3名を殺害1名重傷。この事件以降、軍部がテロを脅しに政治に介入、戦争体制に大きく動き出した、と松本清張さんも著書で結論づけています。これ以降、太平洋戦争が勃発するまで国民の目には見えない体制変更が、軍上層部で進行していきました。

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西安事件昭和11年1936年、12月:中国西安で捕らえられた蒋介石共産党と手を結び日本と戦う契機となった西安事件、分裂していた中国側が連携して日本軍と対峙していきます。

昭和12年1937年、7月7日。盧溝橋事件:日中戦争の開始。

日本側の謀略による盧溝橋での発砲事件を元に、日本軍が中国軍との戦争に踏み切る。その後長期化していく。この戦争で当時の首都だった南京に攻込んだ時に、捕虜や民間人の大虐殺を行ったとして戦後も大きな問題になっています。南京が落ちても中国側の抵抗は止まなかった。

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昭和14年陸軍省秘密文書404号:中国帰還兵の証言「戦闘の間嬉しいものは略奪」「金をやるか、分からぬよう殺せ:強姦」「皆を調べたら、殺人強盗強姦ばかり」これらは陸軍身内の証言、南京だけで無く日本軍の軍紀は、長引く戦闘にかなり緩み腐敗していた。

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2021年8月19日、NHKのクローズアップ現代+日中戦争精神障害を負った兵士の特集をやっていた。取り上げられた百名強の被害者は国が認定した患者。実際はもっと多くの被害者がいた。それでも、その症状と戦後も含めた悲惨な生活に息が詰まった。何より兵士として中国の民間人を惨殺した記憶、加害者としての自分自身に苦しみ、精神を病み体の痙攣が止まらない症状などに苦しんでいた。終戦後、家族や地域にも言えない苦しみを抱え苦しむ人達。この治療の内容は50年伏せるように言われていたらしい。女性や子供を含め殺されていった中国人、命令され殺していった兵士、帰還し家族にも言えぬ苦しみ、皆が国策の被害者だったと感じる。

この報道に、NHKの悪口ばかり言ってはいけないナとも思った。

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昭和14年12月、大本営が設置され日本は戦時国家となる。南京は陥落するも戦争は終わらず、長期戦となる。現場は和平を模索していたが、近衛文麿内閣は蒋介石を相手にせず、と宣言し戦争終結を拒否。太平洋戦争が始まるまで戦争状態が継続する。近衛文麿、お公家さんですね。戦争一直線でも困るけどお公家さんでも世界情勢が読めない、政治家失格でしょう。

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<欧米と日本の関係>

日中戦争は長期化して、中国に権益を持つ欧米との対立が目立っていき、太平洋戦争へと繋がるのです。日本の明治以降の発展はイギリスと同盟関係にあったからこそで、日露戦争もかろうじて勝った背景はアメリカのルーズベルトの仲裁のおかげだったと。なのに昭和に入り日英同盟を破棄しアメリカも仮想敵国と考えるようになっていきました。これは海軍でも同じだったと。当時の国力を考えれば、英米との衝突は無謀で外交で解決すべきと言う正論もありましたが、少数で無視されていきます。正論の山本五十六は現場の責任者になり、本部から外れていきます。

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国家総動員法昭和13年、1938年:3月17日成立。11月:東亜新秩序声明、近衛内閣。ドイツのヒトラーがヨーロッパ新秩序を叫んでいた事に呼応するかのようでした。日独伊三国同盟へと突き進む事になります。後に太平洋戦争を日本側が「大東亜戦争」と名付けたのはこの考え方に基づくものでした。アジアを開放するという国民向けのアピール、無理な法律で国民を縛り付け勝てない戦いに突入する姿は、現在の身内の旅行業者優先で感染を広げ、ワクチン手配に負け、コロナ対応の病院網も作れず、さらにオリンピックで感染拡大のダメ押しを決定づけ、いまや国民の自粛要請しか方策が無い姿にダブってきます。

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太平洋戦争の犠牲者、全戦没者310万人の90%超281万人が戦争末期に犠牲になっている(東京新聞8月15日)ABCDライン、は日本が創った言葉のようですが、アメリカ、英国、中国、オランダが日本と対抗している、というメッセージを国内に広げるための物だったそうです。英米により日本の資産凍結と石油禁輸が行われました。戦争が長引いた事で、犠牲者が急増した。

コロナの感染者急増の状況も、PCR検査拡大、軽症者の保護、ワクチン確保の遅れによるもの。

問題の本質を、専門家の意見を取り入れ科学的に判断し実行する、そんな政治を見たいですね。

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8月15日(日)終戦記念日。戦争を体験した人達が減っていく中で、私たちにとっての戦争とは何だったか、実感を持って聞くことがどんどん少なくなります。歴史を身近に感じられるのは100年単位では無いか、と保阪正康さん、半藤一利さんの歴史語り部を継ぐ存在ですが、テレビの中で話されていました。歴史として残っている内容は文字や画像で一面を見ることは可能ですが、実際の体験者の話を聞くことは実感を持って受け止められます。

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戦前を生きてきた普通の人達に共通するのは「国家」が信用できないものだと「実感した」事のようです。それまで正しいと信じ込まされたことが、一夜でひっくり返って教科書に黒い墨を塗る、なにが正解なのか。立花隆さんや養老孟司さんの本が面白い理由もそんな体験にあるのかも。

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この期に及んでもうつろな目で、同じような言葉しか発しない指導者の国にいる私達。パラリンピックで競技する人達は身体に弱点を持つ人が多いと思います。ウイルスをさらに感染させる要因が、パラリンピックなどと思われたら、お互いに不幸では無いでしょうか。中止というメッセージが出れば少しは話が聞けるかもしれませんが、今のところ国民が何人死んでも祭りはやめそうにありません。

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今回、戦前編は自分にとって文字でしか触れられない世界でしたが、マスコミと政治の関係など、正に今の状況と同じような事が起きていたと感じました。私達が一人一人の意見を集めて、政治を動かし、マスコミまで巻き込み、現状を改善していく、そんな構図もあるのかなあと感じました。私達は盲目かも。だから、正しい人が誰か、何が正しいかを自分なりに見極めようとする姿勢が大事かもしれません。一度権力が力を持ったら、なかなか放しません。マスコミも経済原則で動く事を理解しなくてはいけないのかもしれません。

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第二次大戦後、中国は毛沢東により共産党が政権を持ち、いまや世界第二位の大国です。NHKBSで特集していましたが毛沢東も初期は民衆側に入り込んだ政治を行っていましたが、一旦権力を掌握した後は、正しい意見より自己都合で国をおかしくしていきました。ロシアやそのほかにも独裁者が目立つ国が多い感じがします。アフガニスタンタリバンが復活したニュースも、世界が不安定さを増すのではと思うし、アメリカの占領政策の失敗かも知れないですね。

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世界が共同でこのコロナ禍、温暖化に立ち向かわなければいけない世紀にいるはずです。残念ながらまず日本自体がコロナから自国民を守れないのでは?という不安を覚えます。そして世界の連携もどんどん難しくなっているようにも見えます。無論、自分には何もできないけど、何が起きているかをできる限り正しく見ていけたら良いなあと思います。

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