つぶやくdorotanuki

小さい穴から見える外界の様、過ぎる時代への雑感をつぶやく

☆故郷の廃屋守るドロタヌキ☆

ほぼ年に一度帰る故郷は普段すむ人が絶えた生家が辛うじて残っている。

ある年の帰省、家にたどり着いてふと庭を見るとぬかるんだドロの向こうに、毛が生え替わる途中のようなタヌキが二匹こちらを見ていた。
闖入者を警戒したかのようで、まるで私が侵入者として見られた格好だった。普段はこのタヌキやイタチ、野鳥が暮らしそれにイノシシもタケノコを探して畑を掘り起こしたりすっかり野生の世界になっているようだ。この荒れて竹林が広がってしまった山裾に並んだ数件の家々にたった一人100歳を超えたお爺さんが住むのみとなった現実。
自分が生まれた場所が消えていくかのような、実際消えていく途中なのだが、庭に残りいつの間にか思いがけず大きく丸く葉を広げ変わらずただ静かに立っているかのような金木犀に、俺の家族は近所の人たちはあの生活はどこに行ったんだ!と小さく叫んでいた。

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金木犀