つぶやくdorotanuki

小さい穴から見える外界の様、過ぎる時代への雑感をつぶやく

7月、文月<夏>その2 (16日~31日)

7月後半に入っても雨模様の日々が続き、前線が停滞する気象状況です。経済に舵を切るという国の思惑は完全に外れ、感染第二波が現実の脅威になってきています。ここまで来ても信頼できるリーダーが不在で、検査も自衛の指標もなく、息が詰まりそうな状況ですね。

16日:芭蕉:夏の月ごゆより出て赤坂や御油を出て赤坂に着くまで月を見て歩いている。

東京の地名かと思ったら、これは東海道、愛知県にある宿場で赤坂と御油は隣り合っている。

夏の月今宵かくるる雲の上:雨や曇りの日が多く月を見ていない。これは異常気象かな。

夏豪雨上がりしのちの花しずく:近所のアマリリスのような花、名前は不明です。

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17日:(菅波裕太)裁判所金魚一匹しかをらず:2012年俳句甲子園、深閑と静かな場所だ。

コロナ禍や倅(セガレ)ボオナス鰻買う:期待してなかったボーナスが出て、鰻を食べた。土用丑の日は21日だけど、久しぶりの鰻だし良いかな。

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18日:(稲畑汀子)見られてゐることを見てゐるサングラス:なるほど!

シェムリアップ忘れ去られしサングラス:2013年、カンボジア旅行で遺跡に夢中、買ったばかりのサングラスを置き忘れて帰国。(俄雨のアンコールワット、偶然横切った日本人)

▷昨夜から降り続く雨、風は無く荒々しくはないが未だ勢いを保ったまま続いている。

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かの夏の橙(トウ)の僧衣やカンボジア:お坊さんの衣装がゆったりとした橙色で印象的。

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19日:(加根兼光)トルクメニスタンアシハバードの蠅:面白い!これも俳句か!!

パリシャンゼリゼ通り地下鉄のスリ:ラッシュで大柄な男達に囲まれやられてしまった!

フランスではモネの家や美術館など楽しめたが、二度とパリの地下鉄は乗らない。まあ乗る機会は二度と無いだろうから無用な心配だけど。※被害前のシャンゼリゼ通り沿い

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20日(鈴木六林男)昼寝よりさめて寝ている者を見る

先に起きた、まだ寝ている人をぼんやり見る。 ※昼寝=夏の季語

わが夢は悪夢を避けた昼寝なり:そのためにはどう寝れば良いのだろうか?寝付けない。

※偶然花壇の草で撮った小さい虫、脚が白黒模様で名前を検索したが不明?まるで悪夢だ。

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21日:山口誓子)炎天の遠き帆やわがこころの帆:夏に孤独なわが心

炎天に揺らぐ帆の見え犬と我:引っ越してきて犬と行った海、遠くにヨットの帆が見えた。

サスケと名付けた犬も今は居ない。大磯のアオバトを見に行った海でふと思い出した。

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22日:芭蕉:もろき人にたとへむ花も夏野哉:子を無くした弟子の為に手向ける花もこの夏の野には見当たらない、かける言葉も見つからない。

もろき人あの夏押した赤ボタン:誰も焼却炉のボタンを押さないから自分が押す。

もろき人三十四年の夏におり<34年前の7月22日、命日>もうすぐ自分も・・。

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23日:(富安風生)赤富士に露滂沱たる四辺かな

朝早くしか見られない赤富士、周りの草木は朝露がいっぱい。

この朝は赤富士ふたつ山中湖 <2018/08/27 5:02:06撮影>

コロナ感染者数が795人と過去最大値。政権の迷走は益々度を深め、この期に及んでも経済立て直し名目の無謀で自己都合だけの政策に固執している。これから人はどんどん死んでいくだろう、まるで第二次大戦中の軍国政治の様相だ。どう自衛するか難しい。

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24日:波田野爽波)腕時計の手が垂れてをりハンモック:避暑地の夏休み

夏の午後鳩に起きろとキックしたい:源氏池の脇に居た鳩一羽、ウトウトしていた。

蚊遣火の煙と消えし開会式:手帳に「東京オリンピック開会式」の記載あり。

この時点でオリンピックの開催を目指すのはやっぱり無責任では?キックしてやりたい。

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25日:芭蕉:夏艸に富貴を飾れ蛇の衣:夏艸や我先達て蛇からむ ※夏艸⇒夏草

草が伸び放題で殺風景、ヘビの抜け殻でも飾れば良い、それとも蛇を刈り取ろうか。

殺風景な夏の草原が気に入らなかったのか、芭蕉が苛ついているような俳句ふたつ。

夏艸のある有難さ伝えたく芭蕉翁に草原も蛇も貴重です、と伝えたいコロナ禍の今。

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26日:(村越敦)それぞれに花火を待ってゐる呼吸:闇の中で花火を待つ人々

花火撮る十五秒待ち海の上(上がったらシャッターを明け、15秒待ち切る)

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27日: (小林一茶)五月雨(サミダレ)や胸につかへるちちぶ

小林一茶中山道を旅し故郷の信州に向かう途中、秩父の山を見て故郷が近いという感慨を読んだ句との解説がありました。故郷に何か事情があったのでしょうか。

▼生業(ナリワイ)壊す線状降水帯:今年の激しい雨の原因、コロナウイルスも重なって、復旧も進まず大変な状況。生きる大変さを感じている皆に胸がつかえる思いです。

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28日:芥川龍之介)ひと籃の暑さ照りけり巴旦杏:(ハタンキョウ)スモモの一種、

目を閉じし無沙汰人あり巴旦杏:元は日本のスモモがアメリカの育種家により改良されプラムとして日本に再輸入されたとのこと。写真撮影でお世話になった方と今は疎遠となり、その人に以前貰ったことのあるプラムを思い出した。甘かった味が苦く変わる感じの記憶。

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29日: (中村草田男)のぼりゆく草細りゆく天道虫テントウムシの重みで草がたわむ

アゲハ蝶ゆれとびまわりゆがみあり

こんな写真で良いのだろうか、まあ単なる手ぶれだとすぐにバレるけど、面白い絵だ。

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30日:佐藤文香)夕立の一粒源氏物語:京の町、雨粒を受け一瞬昔の時代に浸る。

蓮花や訪(オトナ)う人もなき寺に:電車で行ける距離はキャンペーン対象外?中身が分からん。

国は医療強化や検査充実に税金使わずばらまくだけなのか?経済は健康な人が作るのに。

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31日:芭蕉:霧しぐれ富士を見ぬ日ぞおもしろき

当たり前だけど芭蕉は凄いですね、霧で見えない方がいろんな想像も出来て実は一番綺麗な物が見えている、というふうに言っています。写真撮影で富士山が雲で見えないとがっかりですが、実はその奥には富士山がどっしりと構えているという心が大事なのでしょう。

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街の灯のほのかに照らす霧の富士

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すでに出来上がっている俳句を参考にして、色々と発想、妄想するのは面白いけど実はとても難しいことを実感しました。参考になったのは5-7-5の形や季語に余り囚われず作るのは、変な物になりやすい反面、面白さもあると感じた事です。

結局、梅雨明けは来月になるようです。九州の大雨被害から始まり、なんと芭蕉の句にもある最上川が氾濫という事態にも発展し、もはや五月雨などと呼べないような獰猛な季節がこれからも続くのか、夏場の猛暑はどんな感じかなど、コロナ以外も不安は続きますね。