つぶやくdorotanuki

小さい穴から見える外界の様、過ぎる時代への雑感をつぶやく

六月、水無月(水の月=水を田に引く月)

我田引水物事を自分の利益になるように引きつけて言ったり、したりすること

G7という国際会議を最大限に利用しコロナ禍のオリンピック開催を国の内外に宣言。日本人の海外に弱い点を突き、反対を言いにくい雰囲気を作り出しています。何故、オリンピックが全てをなげうってでも開催されなければいけないのか、この疑問に対し誰も納得できる回答を示してくれません。少ないとは言えすでに14,000人以上が死んでいて、日々増えていきます。

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<日日草ニチニチソウ土に包みし雨上がり 花壇に日々草を植える。雨の後で土は軟らかい

6月16日現在:世界の累積感染者数/死亡者数(JX通信社)日本と感染国上位3国。

「日本:778,919人、死亡者数:14,268人、致死率1.8%」

1、アメリカ:約3400万人、死亡者数:60万人、致死率1.8%。

2、インド:約3000万人、死亡者数:38万人、致死率1.3% 

3、ブラジル:1750万人、死亡者数:40万人、致死率2.8%

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<有酸素  窓の外行く白いシャツ ジムの二階から外を見ると学生の白い服が通り過ぎる

オリンピックで、世界中から多くの人が日本に入り、出ます。感染が広がらない訳はない。国民の絆を取り戻し?安心安全な?復興のシンボル?コロナに打ち勝った証?平和の祭典?誰の作文か、突っ込みどころ満載で、内容の無い答えに終始する国会でした。まだコロナとの戦いは途中であり勝った証明は無いし、今後は脅威を増したインド変異種の増加が危惧されている。この現状を、第二次大戦中の日本軍インパール作戦の無謀さに例えるコメントもあります。

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<赤白の花散らし咲く日日花ニチニチカ 日々草は3日くらいで、花を自から落とすらしい

日本の戦後、アベノミクスが実現したものは、格差の拡大、賃金の低下、派遣業の拡大、コストカットでしか利益が出せない大企業の経営体質、貧富の拡大による社会基盤の劣化、など。

新型コロナが暴いたのは、小さな政府/新自由主義のもとで推進している感染症対応の拠点、保健所、公立病院の削減、縮小。この結果が日本の感染対策の弱体化に直結した。特に東京、大阪等の大都市が如何に感染症に弱いかを露呈した、日本政治の構造的弱点です。現場のコロナ対応はこんな状況下でも、多くの医療関係者が身を削って前線で奮闘し支えています。しかし負担は大きく、今後再拡大したら医療崩壊下でのオリンピックで、死者がまた急増します。

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<梅漬けやこれでどうだと紫蘇絞り 紫蘇の葉をぎゅうっと絞る、梅に混ぜて漬け後は待つ

敗戦時のどん底、そこから民主主義への期待と戦争の苦しみを経験した経営者達による日本型経営、家族主義、力を合わせて働く事を意識した経営者も多かった。そして敗戦の瓦礫から世界第二位の経済力を持つまでになる。働かせ方には問題もあったが、現場では創業者を含め貧しさを経験した共通体験が経済を支えていた。それが、1990年代以降バブル崩壊後に主にアメリカ式経営に変わって行き、経営のコアとして人を大切にする意識から、コスト削減、利益最優先という経営に変わっていきます。人件費は経営圧迫コストの最大要素とされ、より安い派遣労働の拡大に繋がりました。生きた人間の価値が数値、単価で判断されるようになりました。

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ドクダミの白き花見せ梅雨模様 蕺:ドクダミ、別名、十薬

戦後日本の人を大事にする経営は廃れていき、結局国力(人)の大きな中国に抜かれました。人が基本の技術力、生産力は時間経過の中で経験値も平均化され、やがて最後は人員数によって差が出てきます。日本の強さは一億数千万の人間が一律の教育環境で、皆で協調し考え働く態勢だったと思います。しかし今の教育も含む格差拡大はそれを大きく阻害しています。

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<手を合わせ朝顔の種撒く夏や 義母命日:竜胆と菊を供え、貰った朝顔の種を撒く

政治の世界も1996年以降、カバン(金)と看板(地盤)で勝つ小選挙区制になって、大政党に有利な仕組みになった。政治家の世襲がはびこり、まるで封建制度のように、新しい人を排除する。人を育てる政治の意識欠如は無論、自分達以外は人間とは思わない感覚が霞ヶ関に充満している。必死で働く官僚までもを、忖度という言葉で殺すまでにモラルを落とした。今の与党の政治家でいる事は、特権階級に属すると言うことに等しく、その地位は離さないだろう。これは敗戦時GHQが断罪した帝国主義に戻ったようで、戦前の復活にも見えます。

※赤木ファイルがやっと出てきました。改めてその無念さに胸が詰まります。

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<彼岸行き霊柩車夏黄金色 易学「陽きわまれば陰生じ、陰きわまれば陽生ず」で華美に?

コロナ禍で働き方について考える機会も増えています。

政府の「骨太の方針」に「選択的週休3日制」が取り上げられている事を知りました。

以前は土曜日の半ドンから週休二日制が嬉しかった。今後、週休三日になれば良いと思います。

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<九十度ストック2本に夏陽射し 腰を曲げストックを突き、力一杯ゆっくり歩く人有り

スペインでは政府の実証実験として、週4日労働(週休3日)を実施しようとしています。政府が65億の予算を投じ、来年以降の開始を見込んでいるとか。ポイントは給料を下げずに労働時間を削減する事。企業が週4日労働制に移行する費用を一年目は100%、二年目50%、三年目33%を政府が負担する、これで制度化の促進を支援する。国民へのアンケート調査でも導入賛同が約7割。凄いですね。

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<新調のそば殻枕 夏昼寝 涼しくて、なかなか気持ちいい

週4日労働の利点は(時間の余裕ができ民主主義、国民の政治参加が進む。)(労働時間の削減でCO2削減が可能)(肉体的精神的負担を減らす)(効率的に働き生産性が高まる。)など良い事尽くめ。

実際にアンダルシアのソフトウエア企業はこの制度をすでに取り入れ、欠勤率の28%低下、売り上げ20%増の結果が出ている。なにより、労働時間の短縮で職場の雰囲気も良くなったと。

今、長時間労働の中にいる家族を考えるとスペインに移った方が良いよと伝えたいくらいです。

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<実梅ミウメ落ち柿の実青き葉叢かな 梅は色づき落ちた。柿の実は葉と同じ色で葉陰に

また、連日の超残業で上の意向に沿う為に過労死気味での政策、成果しか出せない日本政府の官僚さんにも聞かせたくなる実話です。スペインの左派連立政権、こんな政治が日本でも実現したら、今の生活にもっと希望が持てそうです。

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<猫元気 緑陰見やる部屋占拠 引越し先でもマイペースの猫、元気そうだった

日本でも体力のある企業は週休三日を認め始めていますが、企業単位ではやはり中小零細は取残されます。コロナ対策もまともに取り組めない/取り組まない政府では、スペインのような取り組みは望めそうにないですね。「週休三日制」骨太の政府方針も、お題目だけで中身が具体的に分からず、企業側の人件費の削減、もしくは単なる人減らしに繋がり、労働者の環境悪化を進めるだけでは?結果として働く時間が減り給与が下がり、生きるために掛け持ちで働く時間を逆に増やさざるを得ないと言う事にもなりそう。企業のコストカットが目的で、かつ体力の無い中小企業を整理再編するためのフルイになるのではと感じています。悲しい。

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<無言なり言いたき事の多き夏 沢山の人が今の政治に言いたい事は沢山あると思います

スペインと日本の取り組みにある違いは何なんでしょうか?

スペイン:民主主義の考え方から働き方を考えている。人を大事にする、環境を守る。

日本:経済効率、資本主義下での利益向上が目標。企業が強くなればおこぼれがあるかも。

ものすごく簡単に比較すると、こんな感じになります。これで環境を守るSDGsが実現できるのはどちらのシステムかも見えてくるようです。

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<夏の宵蒸し暑さ増す「資本論」 新解釈?古い方も知らないから、今一理解できない

<そのSDGsについて>斎藤幸平著:人新世の「資本論」 (集英社新書)読んでみました。

最近のはやり言葉、TVコマーシャルでも取り入れられる「SDGs」これが大衆のアヘンである、と言うのが最初のタイトル。気候変動は資本主義が原因、行きすぎた開発が地表を覆っている原因はエコバッグや風力発電、電気自動車などでは解決できない。と過激に言い放つ!

SDGsをやっている感だけでは、地球環境問題の解決は出来ないと言うのです。

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<鬱々と粛々と過ぎ夏の宵 こんなもの俳句では無い、と言われますね。ま、いいか

一例が政府はCO2削減のためには原発の維持が必要、という。原爆や原発が地域を根こそぎ破壊し、今も影響し続けている歴史事実があるのに。また福島の復興を謳うオリンピックで解決できる話でもない、セレモニーにすり替えるのではなく、原発自体の廃棄を長期間かけて行う事が解決策。原発の存在自体が大きな環境負荷であり事故やテロの危険性も含め、社会的に巨大なマイナスでしか無い。オリンピックも即止めて正しい復興に取り組んで欲しい。

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干拓の風にまかせて行々子 オオヨシキリ=行々子:ギョウギョウシ、有明海干拓地で鳴く

「環境破壊にどう取り組むか」

この状況を変える道は、生活者の直接参加で、今の大量消費生活を、如何に変えていくか話し合い、生活者グループ自身が実践すること。企業活動に任せるのではない脱成長メカニズムを作り上げていくことだと説いています。具体的な活動例として、スペインの活動事例をあげていました。例えば休日には道路を封鎖し、市民の憩いの場として再活用する事例など。

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<三十度また出してくる扇風機 夕方に30度もある、蒸し暑き日々の始まりかな

「脱成長コミュニズム」とは地球環境の持続可能性を考えた社会生活を目指す。資本主義に緊急ブレーキをかける。このままでは資本主義、利益優先主義が人間も住めなくなるまで地球環境を破壊してしまう。長時間労働に苦しんで、大量に生産、消費、廃棄する経済システムと手を切る。株売買などの、儲ける為だけの仕事は禁止をする。社会全体の労働時間を大幅に短縮する。それだけで生活の質は向上する。

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<父の日や今年辣韮ラッキョウ甘酢漬け 今年は泥付の辣韮が入手できず、加工済みを漬け込んだ

医療や福祉、教育のエッセンシャルワークを重視する。働く人自身が参加して話し合い、創造性を発揮する。住宅など生活に必要な資源、生産設備などをコモン:共有財産とする。儲けに囚われずコモンに重点を置く。(この部分、なかなか具体的に理解できないけど)

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<息苦しマスクの中に籠もる夏 二年目だが、夏場のマスクは蒸れて暑い

現在の共産主義を掲げた中国やソ連等の実体経済は「生産力重視」の資本主義、しかも一党独裁の官僚機構がトップダウンで管理している。特に中国は、急速な経済成長で環境破壊を進めている。資本主義の転換には3.5%の人が非暴力で立ち上がる事で社会が変わる。資本主義が弾力を無くした今、考えるべき。

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<梅雨寒やワクチン終わり薄日浴び 二回目が終わった、これで完璧では無いが一安心

「南北問題」

北半球の先進国が経済発展し利益、富を独占できたのは未開発だった南半球の自然と労働力が補完した結果だと言います。イギリス産業革命以降、英米欧の列強国は世界中の資源や労働力を、当時の未開国から奪っていきました。アフリカでの奴隷調達、北米、南米原住民のジェノサイド、南米やアジアでの植民地活動等、現在の難民問題にも繋がる歴史です。

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<梅雨入りの翌朝仰ぐ青い空 朝、見渡す範囲は青空、予報は午後から雨だと言う

しかし開発が進み自然の富が取り尽くされると、残るのは貧困と二酸化炭素を回収できなくなった荒れ地です。日本含め先進国が清潔で快適な生活を送る為に排出したゴミが東南アジアを埋め尽くしたりしています。エコバッグや電気自動車で全ての解決はできない理由です。環境を壊さない生活へのシフト、壊れた環境の修復こそが本来求められる先進国の活動です。

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この夏に鶴田浩二の歌を聴き 何から何まで 真っ暗闇よ、筋の通らぬ 事ばかり

豊かな自然を育んでいた土地が、もう生き物を育てる事も守る事も出来ません。地球のエコシステムが崩壊していくのです。人々はその地から、難民となって逃げるしか有りません。乱開発さえ無ければ、人として自然と共生して豊かな生活を長年続けてきた土地、それを暴力的な資本主義が破壊しました。でも、はじき出された難民を受け入れる余地はとても少ないのです。

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<十五分沸かして冷ます麦茶かな ガス台で強火15分、弱火15分で麦茶が出来る

現在の温暖化は資本主義下での経済活動の拡大、長年にわたる乱開発で地球の循環、環境システムが機能しなくなり発生しています。だから人間だけが止める事が出来ます、そして責任もあります。その取っ掛かりが、地域での働き方の改革、住人達自身での話し合いから始まるというのは、中々イメージできにくいけど多分、世界中の若い人達は気づき始めているようです。

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この星の未来、50億?払って宇宙に逃げられる人ばかりでは無いでしょうから。私達の多くは、地球以外に住む場所は無いですよね。偶々、田舎に生れた自分は江戸時代からの農業に近いものを見て育っています。貧乏だったけど、周りに生き物が豊富で空気も奇麗だった気がします。そしてその農業も含め、世の中が急速に生産性重視に変わって行き、便利だけど窮屈な息苦しい世界になったように感じます。これからの人達が手にできる豊かさはどんどんしぼんでいくばかりです。オリンピックにムキになっている場合では無いと思います。

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